月別アーカイブ: 3月 2011

トギオ

トギオ (宝島社文庫) 太朗 想史郎 宝島社 発売日:2011-03-04 ブクログでレビューを見る» 「コインロッカーベイビーズ」にSFがくっついたような世界観だなぁ、というのが感想です。 話のプロットは若干乱暴な所がありますが、余りある魅力がある。 田舎町で口の聞けない「白」を拾ったことで、虐めにあっていた主人公が、とある事件のために村を出て、その先の港町で汚い仕事を覚え、契約によって人権が守られる東曉の町に流れ着き、死ぬまでの話。 最初はSFだなんて思わなかったけれど、何の説明もなく、そんな世界観にシフトしていきます。「オリガミ」や「生体パネル」といったオリジナルのテクノロジー解釈や都市像、社会批判や価値観なども魅力だけれど、そのベースに主人公と「白」との関係性が敷かれている構造が面白い。 次世代の村上龍的な存在に成長してくれるのでは、と期待させてくれます。

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さよならドビュッシー

さよならドビュッシー (宝島社文庫) 中山 七里 宝島社 発売日:2011-01-12 ブクログでレビューを見る»   ピアニストに憧れる主人公が火事にあい、重度のやけどを負ったり、莫大な遺産を引き受けたり、周りのイジメにあったりしながらも、リハビリのためにピアノを弾き、コンテスト入賞を目指す。そこに主人公を狙う殺人犯の影が、、、、みたいな話。 ミステリーとは銘打っていますが、基本的にスポコンです。王道のスポコンストーリー。 その小気味の良さがかえって清々しく、一気に読んでしまった気がします。 主人公の健気さが、なにやら妙に応援したくなるのですよね。特に後半の演奏シーンは手に汗握る描写で、思わず「頑張れ!」って言ってしまいたくなるよう。 こう言うのはもっと若いうちに読むべきですな。うん。 音楽的な描写なんかは「シューマンの指」みたいな方が好きだけれど、こちらもドビュッシーの美しさを端的に表しているようで好感が持てます。 もっともわたし自身はドビュッシーがそれほど好きではないのだけれど… ちなみに天才探偵かつピアニスト教師が出てきて、この人をベースにシリーズ化もしているようです。ただ、この人物は個人的にそんなに魅力的じゃないなぁ。 僕はハードボイルドが好きだから(笑)

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シューマンの指

最近Booklogが便利で面白いことに気が付きました。この小説を読んで、シューマンのピアノ協奏曲とバッハのゴールドベルク変奏曲を購入。 シューマンの指 (100周年書き下ろし) 奥泉 光 講談社 発売日:2010-07-23 ブクログでレビューを見る»   天才ピアニストに憧れる主人公の手記と、それにまつわる殺人事件の話。 シューマンの音楽談義に始まり、だんだんミステリーの色を帯びてきて…と言う具合で、物語の導入と構成が見事。美しい描写もふんだんにあり、途中ミステリーであることを忘れさせてくれます。 (むしろミステリーとは言わないのかもしれない) ちなみに最後のどんでん返し、ってのは爽快である意味面白いのだけれど、蛇足かなって感じる次第。全体のスパイスとして、良く効いていると思いますが、その前のくだりまででも充分に楽しめます。 いずれにせよ、久々にしっかりした小説を読んだという印象。満足です。

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