トギオ

太朗 想史郎
宝島社
発売日:2011-03-04

「コインロッカーベイビーズ」にSFがくっついたような世界観だなぁ、というのが感想です。
話のプロットは若干乱暴な所がありますが、余りある魅力がある。

田舎町で口の聞けない「白」を拾ったことで、虐めにあっていた主人公が、とある事件のために村を出て、その先の港町で汚い仕事を覚え、契約によって人権が守られる東曉の町に流れ着き、死ぬまでの話。

最初はSFだなんて思わなかったけれど、何の説明もなく、そんな世界観にシフトしていきます。「オリガミ」や「生体パネル」といったオリジナルのテクノロジー解釈や都市像、社会批判や価値観なども魅力だけれど、そのベースに主人公と「白」との関係性が敷かれている構造が面白い。

次世代の村上龍的な存在に成長してくれるのでは、と期待させてくれます。

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さよならドビュッシー

ピアニストに憧れる主人公が火事にあい、重度のやけどを負ったり、莫大な遺産を引き受けたり、周りのイジメにあったりしながらも、リハビリのためにピアノを弾き、コンテスト入賞を目指す。そこに主人公を狙う殺人犯の影が、、、、みたいな話。

ミステリーとは銘打っていますが、基本的にスポコンです。王道のスポコンストーリー。

その小気味の良さがかえって清々しく、一気に読んでしまった気がします。
主人公の健気さが、なにやら妙に応援したくなるのですよね。特に後半の演奏シーンは手に汗握る描写で、思わず「頑張れ!」って言ってしまいたくなるよう。
こう言うのはもっと若いうちに読むべきですな。うん。

音楽的な描写なんかは「シューマンの指」みたいな方が好きだけれど、こちらもドビュッシーの美しさを端的に表しているようで好感が持てます。
もっともわたし自身はドビュッシーがそれほど好きではないのだけれど…

ちなみに天才探偵かつピアニスト教師が出てきて、この人をベースにシリーズ化もしているようです。ただ、この人物は個人的にそんなに魅力的じゃないなぁ。
僕はハードボイルドが好きだから(笑)

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シューマンの指

最近Booklogが便利で面白いことに気が付きました。この小説を読んで、シューマンのピアノ協奏曲とバッハのゴールドベルク変奏曲を購入。

天才ピアニストに憧れる主人公の手記と、それにまつわる殺人事件の話。

シューマンの音楽談義に始まり、だんだんミステリーの色を帯びてきて…と言う具合で、物語の導入と構成が見事。美しい描写もふんだんにあり、途中ミステリーであることを忘れさせてくれます。
(むしろミステリーとは言わないのかもしれない)

ちなみに最後のどんでん返し、ってのは爽快である意味面白いのだけれど、蛇足かなって感じる次第。全体のスパイスとして、良く効いていると思いますが、その前のくだりまででも充分に楽しめます。

いずれにせよ、久々にしっかりした小説を読んだという印象。満足です。

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人間はガジェットではない

バーチャルリアリティの父と言われるジャロン・ラニアーの著作。
インターネットの黎明期から技術動向を眺めている彼ならではの思いが現れている気がしました。若干の後悔と、不安と、期待と、そんなとても手に負えなくなってしまったウェブ世界の現状を嘆いているようにも思えます。

具体的にはウィキペディアに代表される集合知、それらを包括しているサイバネティック全体主義についての批判。集合知は特異点を越えるか、そしてチューリングテストに合格するか。平均値に集まることで、情報はそれらしくはなるものの、アインシュタインは産まないだろうとの予測。
加えて、アーティストの不遇と創造性の破壊について。現状のアーキテクチャ(SNSなど含む)はアーティストを搾取するばかりで、新しい試みでウェブ上で成功することは難しいと思われる。(実際、調査したところ少ない)

Radioheadの事例はもともと成功していたから成り立つものだし、それらをアグリゲートしてCGMっぽく振舞っているメディアも著者に還元はない。一方で、ニコニコ動画のように低俗なマッシュアップに注目が集まるようになっている。これについて、赤松健氏の批判は尤もであるように思える。

サイバネティック全体主義への批判は、結局のところ情報の整理や活用をするのは、「情報」そのものではなくアーキテクチャであり、それらを決めたり、方向修正したりするのは人間だということ。機械や情報が自己組織化して何かを提供するというのは、現状の技術においては若干無理がある。Poi Bot何かを見てるとむべなるかなという気もしてくる。

それらを踏まえた上で、情報格差や、それこそ貧富の差をも解決するようなアーキテクチャの創造が望まれる、ということがこの本の趣旨ではないかと思う。

例えば、ISPによる課金モデル、無限にコピー可能な情報アーキテクチャ。(ここまで膨らんでしまうと今更無茶だろうけれど)
TwitterやUstでも喧々諤々の議論があるように思うけれど、実際は政府が介入しなくちゃどうにもならない気もします。
勿論、介入したからどうだということもないけれど、レールを敷くのは政府だろうから。(うーん、これは楽観的すぎる気もするな)

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Holistic Approach to Energy Efficient Datacentersの翻訳記事

弟に何か書け、と言われたが自分の中に何か使命感に駆られて書くべきものもないので、今日行った作業について記すことにした。こんなことを続けていけばデータセンターの専門家になれるかも。ソースは下記。

http://www.globalfoundationservices.com/documents/HolisticApproachtoEnergyEfficientDatacentersAug2010.pdf

下記のポイントはPUEの有用な使い方と、コンテナデータセンターによるモジュールアプローチ、それに続く蒸発冷却機について。最初のサーバの評価指標[パフォーマンス/ワット/$]はGoogleの論文でも言及していたけれど、大切な概念なんだろうな。コロケーション業者はしっかり学ぶべし、とのこと。

以下、翻訳文。精度に責任は持ちません…

Microsoftのような企業はPUEは有益な指標といって受けいれているものの、その反論の声も大きい。確かにPUEは完璧ではなく、その計算方法によっては矛盾や不一致が生じる。

しかしながら、我々はPUEは有用なツールとして利用する手法を発見した。注意深い分析によって、PUEの差異の原因を突き止めることができるのだ。

下図は2004年8月から2007年の8月までMSのでたセンターのPUEの変化を示したものだ。
2年間のエネルギー効率化努力によって25%が改善している。あまり直感的ではない方策をいくつかあげると、
1)屋根を掃除して白く塗る
2)エアフロー改善のために外部設置の空調の室外機を囲うコンクリート変えの位置を変える。
などがあり、それぞれはPUEの改善に寄与しているといえる。
しかしながら、PUEを向上させることだけがゴールではないだろう。本当のゴールは無駄を削減し、計算資源に与えられる電源容量を増加させることだ。PUEは有益な指標だが、盲目的に使うと過ちが起こる。例えば、サーバーのファンをパフォーマンスに影響を与えず、取り除くことができた場合、IT機器の電力は減少し、エネルギー効率は増加するが、それはPUEのの増加にもつながってしまう!
一方で、コロケーション業者がサーバ運用の知識を持っていないことや、サービスレベルを守るために過度の制約を求める傾向がある。また、サーバのオーナーも設備を守るため、またコロケーション業者とのが契約内容が守られるとの仮定があり、それらは2重の無駄を発生させている。
我々は正確な計測とサーバと施設を含めたデザインによって、効率的なエネルギー効率の向上が可能であると考えている。
我々のサーバのパフォーマンス計測と分析によって、サーバプラットフォームの合理化が可能である。また、我々は[パフォーマンス/Watt/$]という単位を更に高いエネルギー効率を達成するために導入している。下図は消費電力が少なくクロック数の少ないプロセッサーがどの程度効率的かを示したグラフである。分散コンピューティング環境においては、サーバは最大のパフォーマンスで稼働する必要がない、それゆえ[パフォーマンス/Watt/$]が一番よいサーバーを選択するのがベストであるといえる。
我々はシカゴのデータセンターでコンテナデータセンターの導入を行った。目的はコンピューティング資源を最高効率で利用することである。ベンダーにはスペース上の制約がある場合、コンテナを積み上げることも許可した結果、PUEは平均で1.2を達成することができた。(世界平均は1.6)
シカゴでの経験から、我々はコンテナをより有用なツールとするためにダブリンのデータセンターでは、別のアプローチを取ることにした。もはやISOスタンダードのコンテナには頼らず、フリークーリング(外気冷房)をほとんどの時間帯で利用するというデザインで、IT Pre-Assenbled Compenent(ITPAC)デザインと名付けられている。
GreenGridから提供される気候データによると、様々な場所でフリークーリングは使用可能である。多くのシステムは外気以上の温度で問題なく動作しているためである。また、外気が32から35℃では蒸発冷却(Evaporative cooling)が行える。Evaporative coolingは外気温度が高く、湿度が低いところで有用であり、熱を吸収して水分が蒸発する働きを利用している。WBとDBがことなればEvaporative coolingは効果を発揮し、同じだと作用しない。蒸発冷却機はアメリカではSWANPクーラーと呼ばれ、別な場所でDesertクーラーとして知られている。
なお、我々のソリューションでは追加で別なチラーを設置することができる。それによって支出が増えるが、殆ど使われることがないと言えるため、エネルギー消費量は削減できる。
MSはこれらのデータセンターの試みを伝統的な2重床のメガデータセンターからのパラダイムシフトであると考えている。このようなモジューラーアプローチによってコストの削減とと納期の短縮が可能であり、ビジネスのデマンドに合わせたタイムリーなデータセンターの提供が可能になる。
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500色の色鉛筆

世の中には多様な色があって驚かされる。

しかしながら、「ハレー彗星の伝説」とか、そんなのって聞いても誰も分からないよね。想像力が豊かなことは感心するけれど。我々の感受性が高まれば、将来は認識される色の解像度も上がって、そういう名前で色を呼んでいるかもしれない。ならない確率はすこぶる高いけれど。

http://info.felissimo.jp/contents/colors/question/index.html

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貧困について

最近、実家に帰ったら貧困関連の著書があって、
「うちは貧困にあえぐようになったのか?」
と思っていたら、弟が出版社からサンプルでもらったとのこと。
「よりみちパン!セ」シリーズはなかなか読みやすくて面白い。

 

昨日、友人と飲み歩いている折、ちょうど貧困についての話題が出たので備忘録的に記述。
1.貧困には絶対的貧困、相対的貧困がある。
2.日本においても絶対的貧困は存在する、との主張
3.「自己責任論」への批判
4.活動家への道

1に関して、国連で定義があるらしい。絶対的貧困は一日の生活が2ドル以下の人々。世界中に沢山いる。アフリカを思えば分かるだろう。相対的貧困は、全体の所得者の平均の半分の年収の人々、具体的に日本では234万円ということらしい。
ただ、悩ましいのが日本における相対的貧困クラスのワーカーは普通に生活できている気がするところ。ただ、湯浅氏の主張によると、諸々の差し引きを考えると、文化的な生活は難しいだろうとのこと。そのような人々は自分の人生や将来に対してもっとがんばろうという意志(筆者はそれを「溜め」と呼んでいる)が無くなっていき、貧困のスパイラルに陥ると。
2のような絶対的貧困者、具体的には一日中空き缶を集め、稼ぎの1000円でようやくコンビニ弁当にありつけるような人々はこうした「溜め」がどんどん無くなっていって、手をさしのべなければどこにも行けない人々ということになる。彼らは生活保護や公共料金の振り込みの手段も知らないという。こうした生活(ホームレス状態)を送っているのは、バブル時代にもてはやされた日雇い労働者であり、彼らは「寮付き、日払い」の生活を何年も続けていった結果、社会に(会社に)スポイルされて自分では何もできなくなってしまう。そして、歳をとって仕事が無くなり、路上に出る。
筆者はこれをシステムの責任とし、「もっと頑張れば」とか「選り好みしてるんじゃ」といった「自己責任論」を激しく糾弾する。

ホリエモンが言っている「日本には絶対的貧困なんて存在しないんじゃないか?」とか「ネットカフェ難民のコミュニケーション力のなさを何故救わなくちゃならないんだ」といった議論とは真っ向に反目しますね。そう思うと、この人物はやはり恵まれている帝王学の元に社会を見ている気がする。(まぁ、僕はホリエモン結構好きだから、そういう人がいても良いと思うのだけれど)

この問題については、まだ実感を伴わない部分もあって、自分の中でまだ評価が下せないのだけれど、もうちょっと社会勉強して考えるべき何だろうとも思っています。
個人的にも、貧困は他人事ではない、なんちゃって。(自分の場合、ただ金がないだけ....)

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Flash de Bingo!!

久々に作ってみました。今週末に結婚式の2次会で使うのです。

http://www.ibaraki-radio.net/test/bingo/bingo.html

持っているFlash2004MXのライセンスが切れていたり、CS4の体験版がダウンロードできなかったりで散々ですが、なんとかアルファ版といった感じ。

関係ないですけど、最近はオンラインでもFlash制作できるようですね。すごいや。

http://wonderfl.net/

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生まれ変わった気がして

ほとんど眠れなかったのだけれど、気分がよい。
久々に朝ヨガして、中原昌也のエッセイを読む。今日は非常にがんばれる気がする。

理由は色々考えられるが、休日中に行った以下のタスクがポイントだろうと思う。

  1. 久々にHMVに行ったてCDを買ったこと(エリック・ドルフィー)。
  2. 休日中に3冊ほど本を読んだこと。(高橋源一郎「13日間で「名文」を書けるようになる方法」、村上春樹「海辺のカフカ」)
  3. 1本の映画を観に行き(20世紀少年)、DVDで1本映画を見たこと(I am Sam)

特筆すべきが休日中に消化したコンテンツのほとんどが素晴らしいということ。とりわけ二冊の本には様々なことを考えさせられた。後者は正直頭の中でうまく整理できていないのだが(少し考えたのだが、この本をクロノロジカルに理解することは意味のないことなのではないか)、高橋源一郎さんの本は良い。何がよいって、含蓄と人生の示唆に富んでいる。そして題名とは全く関係のないところで話が進んでいく。コレは一種の哲学であると感じる。

「誰もが他者に向けて文章を書くことが可能であり、それは場合によって文章になり得る。それらの文章は人前にさらされるべきである」

キース・リチャーズが局について同様の趣旨の発言をしていたことを思い出した。そんなわけでくだらない駄文でも書いてみようと今日は思った次第である。ただ、この文章は誰のための文章なのだろう?自分のため?さっぱり分からない。ろくに遂行もせず、思ったことをつらつらと書くのはリテラシとして、そしているのか分からない不特定多数の読者に失礼なのかもしれない。

しかしながら重要なのは考えることなんだと思う。前に進むこと。自分を説得し続けること。文章を綴ることはそういう意味も含まれているのだと、学んだ気がするのです。

蛇足ですが、「20世紀少年」の主題歌の「Bob Lennon」なる曲。結構いいかと思ってiTunesでDLしてみたが、聞けば聞くほど大したこと無いような気がしてきた。(これって唄ってるの浦沢直樹?)

やっぱり、T.Rexが良いですね。最後にコレが流れれば良かったのに。

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終末のフール

個人的に伊坂幸太郎という作家はそれほど好きではない。「アヒルと鴨のコインロッカー」は感心したが(「神様を閉じこめに行くんだ」)、「重力ピエロ」は結末に不満を覚えたし(「春が2階から落ちてきた」)、グラスホッパーは人殺しの話しだし(僕は本質的にこういった話が好きじゃない)、「魔王」はマンガの方が15倍は面白い(「考えろ、マクガイバー」)。

理由としては、彼がミステリー作家ということが大きいのだろうと思う。比喩は村上春樹っぽさを感じるし、言い回しもスタイリッシュなのだが、どうも面白いと感じられないのだよな。ミステリーを嫌いだと意識したことはなかったけれど、考えてみると、やはりそうなのかも、と最近強く感じています。僕にとって物語の楽しみとは主人公の成長と、それに対する共感であるから、伏線が絡み合って、最後にそれがほどけてどうのこうの、というのに魅力を感じない。(ただし、松本清張とかレイモンド・チャンドラーは好き。長いし、主人公が魅力的だからだろう。)

「終末のフール」という作品は45万部以上も売れているらしい。すごい人気じゃないか。
この話は要するに8年後に隕石が落ちて人類が滅亡するから、そこまでどう生きるか、ということを描いた群像劇なのだけれど、最近の読者はそういった終末的なプロットに惹かれるのだろうか。
個人的な感想としては、前のいくつかの作品に合ったような疾走感も感じなかったし(これは当たり前か)、誰かに感情移入できたってこともなかったし、あまり楽しめたとはいえないというところ。群像劇らしい伏線の絡まりは流石と思ったけれど、思った以上には楽しめなかった。

ただ、この作家の良いところは必ずキメの言葉を1つは作ってくれているところだ。そこに作者の思いの全てが込められていると勝手に感じている。それさえ読み解ければ他のことなんてどうでもよい気がしている。あんまりな言説とは思えるけれど。
今回に関していえば、こう行った主張のように思われる。
「生きられる限り、生きろ」
終末があろうがなかろうが、関係なくてそれは義務なんだと。そういえば「精霊の守り人」のバルサも「体と魂が離れるまでは諦めちゃいけないよ」と言っていたっけ。普遍的な原理だとは思いつつ、なんか妙に説得力を持つのだよな。
加えてもう一つ
「一生懸命考えたことは、結果がどうであれ、それは正しい」
これはもう、救いでしかない。

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